この記事では、ビートルズとディズニーの間に存在するさまざまな関係や交流に焦点をあてています。
ビートルズの楽曲がディズニーの音楽からインスピレーションを受けたり、ディズニー映画の声優としてビートルズがオファーを受けていたり、さらにビートルズの解散がディズニーワールドで行われたりと、これら二大巨頭の間には驚くべき繋がりを持っています。今回はそんなロックとエンタメの二大巨頭がどのような関わりがあったのか、深掘りしていきます。
それではいきましょう!
- 幼少期のジョン・レノンと『不思議の国のアリス』、『イカボードとトード氏』
- 『Do You Want To Know A Secret』と『白雪姫』
- ドナルド・ダックとリンゴ・スター
- ジャングル・ブックでビートルズは声優を務めかけた?
- 映画『マジカル・ミステリー・ツアー』と『ファンタジア』
- ビートルズ解散はディズニーワールドで!?
- ディズニーパークとビートルズ
- 映画『イエロー・サブマリン』がディズニー配給で3DCGになって蘇るプランがあった
- 『パイレーツ・オブ・カリビアン』とポール・マッカートニー
- ドキュメンタリー『ゲット・バック』ディズニープラスで配信
- 『McCartney 3, 2, 1』
- ミッキーマウス:ザ・ストーリーとジョン・レノン
- インディ・ジョーンズと運命のダイヤルとマジカル・ミステリー・ツアー
- 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と『Rockey Racoon』
- さいごに
幼少期のジョン・レノンと『不思議の国のアリス』、『イカボードとトード氏』
ジョン・レノンは、幼少期から絵を描くのが大好きでした。ここで彼の才能を垣間見ることができる、ディズニーキャラクターのスケッチをいくつかご紹介します。
まず一つ目は、ジョンが描いた『不思議の国のアリス』のイラストです。マッド・ハッターやハートの女王がスケッチされていて、彼の才能がうかがえます。
次に、紹介するのはディズニーキャラクター『トード氏(Mr. Toad)』を描いたもの。トード氏は、冒険心旺盛でエキセントリックなキャラクターで、映画『イカボードとトード氏』で観ることができます。
トード氏はディズニー映画『イカボードとトード氏』に登場するキャラクターで、ケネス・グレイムの『風の森の物語』に基づいています。彼は豪奢で向こう見ずな性格を持ち、自動車に夢中になるなど、その衝動的な行動が物語の中でトラブルを引き起こします。裕福で社交的なトード氏は、冒険好きであり、そのエキセントリックな性格が物語をドラマティックにしています。
これらのスケッチから、幼少期にジョンが、ディズニー映画にどれほど魅了され、インスピレーションを受けていたかが分かります。
ジョンは生涯『不思議の国のアリス』が大好きだった。文学的トリックは勿論のこと、イメージそのものにも大きな影響を受けた。これはジョンによるアリスの絵。モロにディズニーの絵柄なので映画公開直後だとすると11歳頃の作品。映画を見てこれを描いていたジョン少年を思うと可愛くてたまりませんね pic.twitter.com/phNYdedVHL
— Emmie Bead (@emmie_bead) October 12, 2023
『Do You Want To Know A Secret』と『白雪姫』
ビートルズのファーストアルバム『Please Please Me』に収録されている、「Do You Want to Know a Secret」という曲。作詞作曲はレノン=マッカートニー、ボーカルはジョージ・ハリスンが務めました。
実はこの曲の冒頭の歌詞は、ディズニー映画『白雪姫』の挿入歌『I’m Wishing』の歌詞を参考にして作られました。
この曲は、白雪姫の最初に登場する曲で、白雪姫が鳩の群れに歌っているものです。
Want to know a secret?
I’m Wishing
Promise not to tell?
Do you want to know a secret?
Do You Want To Know A Secret
Do you promise not to tell?
『I’m Wishing』は、ジョンがまだ幼い頃に、母親のジュリアによく歌ってもらっていたそうです。
「僕がまだ1歳だったか2歳だったかで母と一緒に住んでいた頃に、母がよく歌ってくれたんだ。それはディズニー映画の曲で(歌い出す)『秘密を知りたい?誰にも言わないって約束してくれる?願いが叶う井戸のそばに立って…』という感じさ。それがずっと僕の頭の中に残っていたんだ」
ジョン・レノン
ドナルド・ダックとリンゴ・スター
1963年の「Ready Steady Go」というイギリスのテレビ番組で、「ドナルド・ダックは好き?嫌い?」という質問を受けたビートルズのメンバー、リンゴ・スターは「嫌いだ」と答えました。
その理由として、「ドナルドの声が何を言っているのか分からない」と述べ、さらにはドナルド・ダックの特徴的な喋り方を真似て見せました。この真似のクオリティがかなり高く、驚きました。2023年現在でも、ドナルドの声真似は定番のネタとしてよく見られますが、リンゴがこの時代に既にそれを披露していたんですね。リンゴ・スターらしいユーモアが詰まった回答でした。
ジャングル・ブックでビートルズは声優を務めかけた?
1967年公開のディズニー映画『ジャングル・ブック』。この映画の制作中、ディズニーの制作スタッフは、バジー、フラップス、ジギー、ディジーという 四羽のハゲワシの声優にビートルズを起用しようとしました。
しかし、ビートルズ側はスケジュールの忙しさでこれを辞退しました。
エプスタインがビートルズにこのアイデアを提案した時、ジョン・レノンは反対し、プロジェクトに時間を割くことはできないと説明しました。そして、ジョンは冗談交じりに「代わりにエルヴィス・プレスリーにやらせた方が良いとディズニーに伝えるべきだ」とマネージャーのエプスタイン言ったみたいです。最終的に映画では、マッシュルームヘアーで、リヴァプール訛りのハゲタカが登場し、J・パット・オマリー、ディグビー・ウルフ、ティム・ハドソン、チャット・スチュアートが声を担当しました。
ビートルズが声優を務めたバージョン、見てみたかったものです。
4羽のハゲワシは作中で、オリジナル楽曲「That’s What Friends Are For」を歌います。ビートルズが出演していたら、今のものよりもロックンロールナンバーになっていたそうです。
実写版ジャングル・ブックでも再び?
2016年に公開された、実写リメイク版ジャングル・ブックの制作の際にも、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターにハゲタカ役のオファーをしていました。
しかし、今回も二人はこれを断ります。
実写版の監督は『ラジオ・タイムズ』紙に対して、「私たちの映画にはビートルズ・ハゲタカは登場しない」と語り、ポールとリンゴをキャスティングしようとした理由は、ジャングルブックのオリジナルでビートルズを、起用しようとしていたからと説明しています。しかし、このアイディアを思いついたのは遅すぎたとも付け加えて、もし続編があったら…嘆いています。
監督が「遅すぎた」と嘆いているということは、断った理由はスケジュールの問題だったのでしょうか。ジャングルブックとビートルズ、うまく噛み合いませんね。
We don’t have the Beatle-vultures,
I did talk about trying to get Paul and Ringo into the film because they wanted The Beatles for the original, but I couldn’t get them. We came to the idea too late. Maybe if there’s a sequel…
私たちの映画にはビートルズ・ハゲタカは登場しない
ポールとリンゴを映画に参加させようとしたのは、オリジナル基づき、ビートルズを起用したかったからだ。そのアイディアにたどり着くのが遅すぎたんだ。もし続編があったら…。
https://www.cheatsheet.com/entertainment/the-beatles-almost-had-roles-in-this-classic-disney-movie.html/
映画『マジカル・ミステリー・ツアー』と『ファンタジア』
映画『マジカル・ミステリー・ツアー』のラストシーンで、ジョン・レノンはファンタジアのミッキーと似た衣装を着用しています。
青い大きいハットに、赤いマントを着用しています。なぜこのような衣装になったのか、細かい経緯は分かりませんが、恐らくファンタジアのオマージュだと思います。
マジカル・ミステリー・ツアーの映画全体の雰囲気も、ディズニー映画『不思議の国のアリス』と似たものを感じます。
ビートルズ解散はディズニーワールドで!?
1974年末、ビートルズ解散の事務手続きはまだ完了しておらず、少し面倒になっていました。そこで1974年12月、ニューヨークのプラザ・ホテルで会合が開かれました。このホテルはジョン・レノンの住んでいた場所の近くでした。ジョージ・ハリスンとポール・マッカートニーは会合に参加し、リンゴ・スターは電話で参加していました。しかし、ジョン・レノンは「運星が正しくない」ことを理由に来ませんでした。
ジョンとこの頃愛人関係にあったメイ・パンは、クリスマスをフロリダで過ごすことにし、ニューヨークを出発し、フロリダ州のウェストパームビーチへ向かいました。休暇中、アップル社の弁護士がリンゴ、ジョージ、ポールがすでに署名した文書を持ってきて、ジョンにウォルト・ディズニー・ワールドのディズニー・ポリネシアン・ビレッジ・リゾート(Disney’s Polynesian Village Resort)で署名を求めました。ジョンは署名し、1974年12月29日にディズニー・ワールドでビートルズの解散が正式に決定したのです。
メイ・パンは、2009年にウォルト・ディズニー・ワールド・ラジオ・ポッドキャストで以下のように語っています。
“The Beatles as a group officially — on paper … we have to put this down on paper with all the lawyers … and make it official. John signed the agreement papers down in Disney World in 1974.”
グループとしてのビートルズは、正式に……紙の上で……すべての弁護士と一緒に紙に書いて……正式にした。ジョンは1974年にディズニー・ワールドで同意書にサインしたの”
May Pang:https://www.explore.com/1161468/next-time-youre-at-disney-why-not-stay-in-the-room-where-the-beatles-broke-up/
「John Lennon Did What At Disney World?(ジョン・レノンはディズニーワールドで何をしたか)」というタイトルのYouTube動画では、実際に現地で、どこでサインしたのかを解説されていました。
ディズニーパークとビートルズ
1973年に、ポール・マッカートニーと妻のリンダ・マッカートニーはBBCの子供向け番組『ディズニー・タイム(Disney Time)』に出演しました。
1970年代半ば、リンゴは子供たちをディズニーランドに連れて行きました。
Yes I think it’s a day trip to Disneyland we took with George, Joan and Derek Taylor. Tania remembers it well so it’s after 1977. https://t.co/mrFPez0EKS
— Eric Idle (@EricIdle) April 23, 2023
ジョージ・ハリスンは、1979年にイギリスのコメディアンのエリック・アイドルと、ジョージが、過去に5人目のビートルズとして名前を挙げたこともある、ビートルズ広報のデレク・テイラーの家族とともにディズニーランドを訪れています。
ジョン・レノンは1973年に、ギタリストのジェシ・エド・デイヴィスと共に、ディズニーランドを訪れています。
1974年には、フロリダのディズニーワールドにメイ・パンと共に訪れています。
映画『イエロー・サブマリン』がディズニー配給で3DCGになって蘇るプランがあった
2009年、ディズニーはビートルズの『イエロー・サブマリン』を3DCGでリメイクする計画を発表しました。当時のウォルト・ディズニー・スタジオの会長、ディック・クックによれば、ロバート・ゼメキス監督がリメイクを手がけ、オリジナル作品で使用されたビートルズの曲もフィーチャーされる予定でした。
モーションキャプチャーの技術を使って、オリジナルのアニメーションを現代風にアップデートする予定でした。ディズニーはイメージムーバーズ・デジタルと協力してこのリメイク版を制作し、2012年のロンドンオリンピックに合わせて公開する計画でした。
しかし2011年、ディズニーは「イエロー・サブマリン」のリメイクを中止すると発表しました。製作費が高額で、ゼメキス監督の作品のクオリティに不安があったためです。また、ゼメキス監督の「少年マイロの火星冒険記3D」が興行的に失敗したことも、このプロジェクトのキャンセルに影響を与えました。
それから10年余、この件に関して特に情報はありませんでしたが、、2021年に突然、製作途中の映像がインターネットに流出し、話題となりました。
オリジナル版映画『イエロー・サブマリン』のラストシーンと、ビートルズのメンバーが実際に登場するシーンを3DCG化しています。
(該当箇所:03:00あたり)
一部のファンからは、今でもこの企画の復活が望まれています。僕もその中のひとりです。
映画『イエロー・サブマリン』は現在、ブルーレイやDVDでの購入・レンタル、またはApple TVでの視聴が可能です。Apple TVで視聴するには、以下のリンクバナーをクリックしてください。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』とポール・マッカートニー
ポール・マッカートニーは、2017年に公開された『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(原題:Pirates of the Caribbean: Dead Men Tell No Tales)に出演しました。ポールはその映画で、アンクル・ジャック(Uncle Jack)という役を演じました。この映画は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの第5作目であり、主にカリビアン海を舞台にした冒険とアクションを描いています。
オフレコ時に、キャプテン・ジャック・スパロウを演じるジョニー・デップの前で、映画のセットの刑務所の独房で、ビートルズの楽曲「マギー・メイ」を歌った映像がYouTubeに公開されています。
ドキュメンタリー『ゲット・バック』ディズニープラスで配信
ドキュメンタリー『ゲット・バック』は、ピーター・ジャクソン監督による3部作のドキュメンタリーシリーズです。このドキュメンタリーは、ビートルズの1969年1月のレコーディングセッションを中心に、音楽史における重要な時期を探求しています。
このドキュメンタリーシリーズはディズニー+(Disney+)で初公開・独占配信されています。
『McCartney 3, 2, 1』
『McCartney 3,2,1』は2021年のドキュメンタリーミニシリーズで、ポール・マッカートニーとプロデューサーのリック・ルービンが、マッカートニーの音楽キャリアを振り返りながら対談を行っています。このシリーズではビートルズ時代からソロ活動までの話が語られ、モノクロのミニマルな映像を通じて2人の会話と音楽に焦点が当てられています。
このドキュメンタリーは、2021年12月22日に、ディズニープラスの新コンテンツブランド「スター」にて独占配信されました。
ミッキーマウス:ザ・ストーリーとジョン・レノン
「ミッキーマウス:ザ・ストーリー」は、ディズニープラスで配信されているオリジナルドキュメンタリーです。
このドキュメンタリーは、ミッキーマウスが世界中で愛されるようになった経緯や、その存在の重要性や芸術性などを文化的観点から解説しています。
このドキュメンタリーでは、先程紹介した、ミッキーマウスのTシャツを着用したジョン・レノンも登場します。
インディ・ジョーンズと運命のダイヤルとマジカル・ミステリー・ツアー
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は、2023年に公開されたアメリカのアクションアドベンチャー映画です。ハリソン・フォードが主演し、シリーズ最新作・最終作となっています。
ディズニーは2013年に、インディー・ジョーンズの権利を買収しています。
作中では、ビートルズの楽曲『Magical Mystery Tour(マジカル・ミステリー・ツアー)』が使用されました。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の物語は、1944年を背景に始まります。しかし、物語はすぐに時を経て、1969年のニューヨーク、アポロ11号の月面着陸を祝う華やかなパレードのシーンへと移り変わります。インディ(ハリソン・フォードが演じるキャラクター)は、マンハッタンのアパートで目を覚ますシーンが描かれます。彼が目を覚ますのは、若い隣人が開いているパーティの音楽のせい。その時、部屋に響き渡っていたのはビートルズの名曲「Magical Mystery Tour」でした。
ハリソン・フォードは、この曲を映画に使用するために「100万ドル(約1億4千万円)を支払った」と語っています。
あのロックンロール音楽に100万ドルも払ったんだ。僕たちをあの時代に引き戻す、象徴的な音楽なんだよ
ハリソン・フォード
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と『Rockey Racoon』
ロケット・ラクーンは、マーベルコミックスのキャラクターで、名前はビートルズの1968年の楽曲「Rocky Raccoon(ロッキー・ラクーン)」に由来します。ロケット・ラクーンは、違法な遺伝子改造によって高度な知能と運動性を得たアライグマで、相棒のグルートと行動を共にする賞金稼ぎです。
マーベル・コミックスのキャラクターなので紹介するか迷いましたが、今はディズニー傘下ということでおまけに紹介します。
「Rocky Raccoon」は、1968年に発売されたビートルズの9作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ザ・ビートルズ(通称:ホワイト・アルバム)』に収録されています。
ロケット・ラクーンは、1976年発行の『マーベルプレビュー』で初登場し、当初は「ロッキー・ラクーン」という、曲名そのままの名前でした。
ちなみに、東京ディズニーランドのクリッターカントリーには『ラケッティのラクーンサルーン』というソフトドリンクと軽食のお店があります。
Rocky Raccoonの歌詞にも「saloon」という単語が登場します。
Booked himself a room in the local saloon
地元の酒場で部屋を借りたんだ
Rocky Raccoon
さいごに
ビートルズとディズニーの間の関係は多岐にわたり、音楽、映画、テーマパークの各方面で交流が見られました。ビートルズのメンバーはディズニーのクラシックな作品に影響を受け、一方でディズニーはビートルズの音楽や映画を配信・再評価するなどしています。
参考サイト
コメント
Wow Thanks for this write-up i find it hard to track down really good facts out there when it comes to this content appreciate for the guide website
Personally, I enjoyed the photojournalism aspect of it, as it just as easily could have been another paint-by-numbers war film. It also shows a potential future where each side reaches their breaking point and conflict does ensue.