今回はナイキのスニーカーの原点であるコルテッツの解説と、コルテッツにまつわるカルチャーの特集です。
- ナイキの原点:コルテッツとは
- 映画「フォレスト・ガンプ」とコルテッツ
- ジョージ・コスタンザとコルテッツ
- ブルーノ・マーズとコルテッツ
- ケンドリック・ラマー
- Control (HOF)
- ELEMENT.
- ナイキとケンドリック・ラマーのコラボレーション
- CORTEZ KEENY 1 “DAMN WHITE/GYM RED”(コルテッツ ケニー 1 “ダム ホワイト/ジム レッド”)
- CORTEZ KENNY 2 “KUNG FU KENNY”(コルテッツ ケニー2 “クン フー ケニー”)
- CORTEZ “KENNY 3 TDE THE CHAMPIONSHIP”(コルテッツ “ケニー 3 TDE ザ チャンピオンシップ”)
- Cortez Kenny 4 “House Shoes/White”(コルテッツ ケニー4 “ハウスシューズ/ホワイト”)
- Cortez Kenny 5 House Shoes “White/Black”(コルテッツ 5 ハウス シューズ “ホワイト/ブラック”)
- Stranger Things(ストレンジャー・シングス)とコルテッツ
- COMME des GARCONS(コムデギャルソン)とコルテッツ
- sacaiとコルテッツ
- CLOT(クロット)とコルテッツ
- UNION(ユニオン)とコルテッツ
ナイキの原点:コルテッツとは
コルテッツは、そのシンプルなデザインと機能性で知られています。ナイキの歴史の中で最初にリリースされたスニーカーモデルの一つです。
ナイキ・コルテッツは、ナイキがリリースした最初のトラックシューズで、1972年にデビューしました。ナイキの共同創設者ビル・バウワーマンがデザインしました。彼は、ランナーにとって快適で耐久性のあるランニングシューズを作りたかったのです。コルテッツは、アスリートと一般の人々の双方に訴え、スタイリッシュなカジュアルスニーカーを求める人々によってすぐに受け入れられました。
オニツカタイガーと日本とコルテッツ
フィル・ナイト氏(ナイキの創始者)は、1962年11月に卒業旅行で日本の神戸を訪れました。そこでオニツカタイガー(現・アシックス)のシューズの高性能と低価格に感動し、鬼塚喜八郎氏(オニツカタイガーの創始者)に連絡を取りました。二人は直接会って話し合い、フィル・ナイト氏が米国西部でオニツカタイガーシューズの販売代理店としての契約を即座に結びました。
アメリカに帰国したフィル・ナイト氏は、オレゴン大学の陸上コーチで、シューズの改良にも熱心だったビル・バウワーマンと協力し、1964年2月にBRS(ブルーリボンスポーツ)社を設立しました。
1966年、BRS社はカリフォルニアのサンタモニカに最初の店舗をオープンしました。3年後の1969年には、会社は十分に成長して、フィル・ナイト氏とビル・バウワーマンはBRS社のビジネスに完全に専念できるようになりました。この間、BRS社とオニツカ社は密接に連携していました。BRS社はアメリカの消費者の好みに合わせた機能やデザインの提案をオニツカ社に行い、オニツカ社はそれを製品に取り入れました。特に、バウワーマンはコーチ時代からシューズの改良に注力しており、製品の品質向上に積極的に貢献していました。
フィル・ナイト氏とビル・バウワーマン氏は、自社ブランドのシューズを開発するために動き出しました。オニツカとの契約を解消した後、彼らは福岡のアサヒコーポレーションにトレーニングシューズの製造を委託しました。1971年、自社ブランド「NIKE」とその象徴であるスウッシュマークがデザインされたシューズが発売されました。
しかし、オニツカとBRS社の間で、ビル・バウワーマンのアイデアに基づいて開発された人気スニーカー「コルテッツ」のデザインと名称の使用権について対立が生じました。BRS社はオニツカ社を提訴し、裁判になりました。最終的に、オニツカ社が弁護士費用と和解金を合わせて1億数千万円を支払い、シューズの名称を「タイガーコルテッツ」から「タイガーコルセア」に変更することで和解に至りました。
コルテッツの名前の由来
当初このスニーカーは、1968年のメキシコシオリンピックに向けて、オニツカタイガー(現アシックス)が開発したもの。
しかし、アディダスが既に「アステカ・ゴールド」という新作スパイクを作っていたことから訴訟を起こそうとします。このような経緯で「アステカ」という名前を使用することができなくなりました。
法的な障壁に直面し、最終的に「コルテッツ」という名前を選びました。この名前は、アステカ帝国を征服したスペインの征服者ヘルナン・コルテスにちなんで付けられました。これは、ナイキが「アステカ」という名前を使用することを妨げた当事者に対する皮肉なメッセージとも取れるものでした。それは、新しい勢力、すなわちナイキが靴業界に登場することを示唆していました。
映画「フォレスト・ガンプ」とコルテッツ
『フォレスト・ガンプ』は1994年に公開されたアメリカの映画で、主人公はトム・ハンクスが演じるフォレスト・ガンプ。彼が知的障害を持ちながらも、彼自身の純粋さと偶然が重なり、様々な歴史的出来事に巻き込まれていくという物語です。映画はガンプが彼の人生を振り返りながら話す、というスタイルで進行します。
映画の中でフォレスト・ガンプがビジネス成功を収めて富豪になった後、彼が走り続けるシーンがあります。そのシーンで彼が履いているスニーカーが、ナイキの「コルテッツ」です。ガンプが愛する、幼馴染のジェニーからコルテッツを受け取ります。
そのシーンは映画の中で印象的なものであり、フォレスト・ガンプがアメリカを横断する形で走り続ける様子が描かれています。彼がコルテッツを履いていることから、そのシューズは映画のファンにとって記憶に残るアイコンのひとつとなりました。それにより、ナイキ・コルテッツは、さらに人気を博すことになり、ポップカルチャーのアイコンとして確立されました。
フォレストガンプに登場するコルテッツは、いわゆるOGモデルと言われるもので、トリコロールカラーの配色が特徴です。コルテッツの中では一番有名なカラーリングです。
ジョージ・コスタンザとコルテッツ
ブルーノ・マーズとコルテッツ
ブルーノ・マーズは、グラミー賞を複数回受賞した世界的に有名なアーティストです。彼の音楽はポップ、R&B、ファンクなど多岐にわたります。
ブルーノ・マーズは、ライブパフォーマンスやテレビ出演などで度々コルテッツを履いています。
Super Bowl 50 Halftime Show
Super Bowl Halftime Showは、アメリカのプロフットボールリーグ、NFLのチャンピオンシップゲームであるスーパーボウルの中間休憩(ハーフタイム)時に行われるエンターテイメントショーです。大規模なパフォーマンス、有名アーティストによるライブミュージック、派手な演出が特徴で、毎年数百万人の視聴者が楽しみにしています。
2016年の第50回スーパーボウルハーフタイムショーでは、ブルーノ・マーズ、ビヨンセ、コールドプレイが参加。そこで、ブルーノ・マーズはコルテッツを着用していました。
Thank You @Nike pic.twitter.com/rm9QF7MEcL
— Bruno Mars (@BrunoMars) February 10, 2016
ブルーノ・マーズの公式Twitterにはハーフタイムショーで着用したものと見られるコルテッツの投稿が。黒ベースにスウッシュがメタリックな金色のモデル。インソールから、ナイキアイディーというスニーカーをカスタムできるサービスを使って作られたものと見られます。
the 2016 American Music Awards
アメリカン・ミュージック・アワード(American Music Awards, AMAs)は、アメリカ合衆国で毎年開催される音楽の授賞式です。この授賞式は、アメリカのポピュラー音楽アーティストを称え、その業績を讃えるためのものです。
2016年のアメリカン・ミュージック・アワードでは、ブルーノ・マーズが彼の楽曲「24K Magic」を披露した際に、コルテッツを着用していました。
コルテッツの素材はレザーで、白ベースのモノトーン彩色のものです。コルテッツの中だと定番の配色の中の一つになります。
the 2017 Brit Awards
Brit Awardsは、イギリスの音楽業界で年間最も優れたアーティストや作品を称える賞です。この賞は、イギリスのレコード業界の貿易団体であるBritish Phonographic Industry (BPI)によって授与されます。
2017年のBrit Awardsでは、ブルーノ・マーズが彼の楽曲「That’s What I Like」を披露した際に、コルテッツを着用していました。
今回も素材はレザーのもので、配色はコルテッツで一番王道なトリコロールカラーのもの。着用しているシャツとも色が合っていてかっこいいですね。
That’s What I Like [Official Music Video]
ブルーノ・マーズ自身の楽曲「That’s What I Like」の公式ミュージックビデオでもコルテッツを着用。
今回は、レザーにオールホワイトの配色のコルテッツです。このミュージックビデオ、とてもかっこいいのでぜひ見てみてください。
Billboard Music Awards 2017
Billboard Music Awardsは、音楽ビジネスと音楽人気チャートを取り上げるメディアであるBillboardによって毎年授与される賞です。
2017年のBillboard Music Awardsでは、ブルーノ・マーズが彼の楽曲「Versace on the Floor」を披露した際に、コルテッツを着用していました。
コルテッツの素材や配色は先ほど紹介した、the 2016 American Music Awardsのものと同じと見られます。白ベースに黒です。
ケンドリック・ラマー
ケンドリック・ラマーは、リリックとフロウが評価されるアメリカの黒人ラッパーです。彼の音楽は、社会問題に対する鋭い洞察とメッセージが込められています。
Control (HOF)
ケンドリック・ラマーは「Control (HOF)」という楽曲の中で以下のようなリリックを綴っています。
ケンドリック・ラマーのこのリリックは、彼がもはや高級デザイナーブランドの服を着ないと宣言している部分です。彼はシンプルな白いTシャツとナイキ・コルテッツを着用していると言っており、これは彼がファッションにおける派手さやブランド志向から距離を置き、シンプルで実用的なスタイルを選ぶ姿勢を示しています。
ELEMENT.
ケンドリック・ラマーの楽曲『ELEMENT.』のMVでも、コルテッツが登場します。
ナイキとケンドリック・ラマーのコラボレーション
2018年1月より、ナイキとケンドリック・ラマーのコラボレーションが実現。
CORTEZ KEENY 1 “DAMN WHITE/GYM RED”(コルテッツ ケニー 1 “ダム ホワイト/ジム レッド”)
2018年01月26日に海外限定でリリースされたこちらのコルテッツ。
アッパーは真っ白で、その外側部分にはケンドリックのアルバムタイトル「DAMN.(ダム)」が記されています。内側部分には、赤いステッチで描かれた通常のスウッシュマークが特徴です。さらに、シュータンのラベルにも「DAMN」の文字がスウッシュマークの上に並べられています。これらのディテールが、このスニーカーをケンドリック・ラマー特別仕様として際立たせています。
CORTEZ KENNY 2 “KUNG FU KENNY”(コルテッツ ケニー2 “クン フー ケニー”)
CORTEZ “KENNY 3 TDE THE CHAMPIONSHIP”(コルテッツ “ケニー 3 TDE ザ チャンピオンシップ”)
デザインはシンプルな黒と白のモノクロームで統一されており、ポイントとして赤いシューレースループが加えられています。スニーカーのアッパー部分は、メッシュとスウェードの素材を組み合わせて作られています。つま先の部分には、ケンドリックのアルバムタイトル「DAMN」を中国語に訳した「该死的」という文字が刺繍で施されています。また、シューレースを固定するテープ部分には「BET IT BACK」という文字が記されています。
Cortez Kenny 4 “House Shoes/White”(コルテッツ ケニー4 “ハウスシューズ/ホワイト”)
クラシックなコルテッツをモダンなスリップオンスタイルに再解釈したスニーカーです。このデザインは、ロサンゼルスの人々に愛されている伝統的なルームシューズからインスピレーションを得ています。
スニーカーの一番の特徴は、キルト加工が施されたインソールが提供する快適なフィット感。これは、従来のコルテッツにはない新しい体験を提供します。シュータンには、「HOUSE SHOES」という文字が太字で記され、そのスニーカーが屋内でのリラックスした使用を意識してデザインされたことを強調しています。
コルテッツの時代を超えたクラシックなスタイルはそのままに、ケンドリック・ラマーの独自の現代的なタッチが加えられ、新旧のエッセンスが融合したユニークなスニーカーが完成しています。
Cortez Kenny 5 House Shoes “White/Black”(コルテッツ 5 ハウス シューズ “ホワイト/ブラック”)
Stranger Things(ストレンジャー・シングス)とコルテッツ
『ストレンジャー・シングス』は、Netflixで放送されている人気のアメリカのテレビドラマシリーズです。1980年代の小さな町を舞台に、超自然的な現象、政府の陰謀、そして失踪した少年の謎を中心に展開されるストーリーが描かれています。
ナイキ x ストレンジャー シングスコラボモデル
Classic Cortez “Hawkins High School”(クラシック コルテッツ “ホーキンス ハイ スクール”)
“OG PACK” CORTEZ(”OG パック” コルテッツ)
人気のカラー組み合わせと「ストレンジャー・シングス」のロゴを採用しています。さらに、それぞれのシューズには、オリジナルデザインを想起させるNikeの専用パッケージと、特別エディションのピンが同梱されています。
Classic Cortez “Sail Upside Down Pack”(クラシック コルテッツ “セイル アップサイド ダウン パック”)
COMME des GARCONS(コムデギャルソン)とコルテッツ
COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)は、1973年に日本のデザイナー川久保玲により設立されたファッションブランド。アヴァンギャルドでユニークなデザインで知られ、国際的に高い評価を受けています。
2018年秋冬のコレクションにて、コルテッツのコラボモデルが発表されました。
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