リンゴを巡って:ルネ・マグリットとビートルズとオノ・ヨーコとAppleコンピュータ

アート

オノ・ヨーコのアート作品、ルネ・マグリットの絵画、ビートルズのレコードレーベル、そしてApple Inc.のコンピューターと、リンゴを中心とした奇妙な関係についてまとめました。

オノ・ヨーコ

オノ・ヨーコ(Ono Yoko)による、1966年のインディカ・ギャラリーの展示は、彼女とジョン・レノンの出会いの場として知られています。天井に「YES」と書かれた作品は有名ですが、そこには台座に置かれた青りんごの展示もありました。

ジョン・レノンは、展示された青りんごを見るなりすぐに齧ったと言われています。この振る舞いは彼らしい逸話です。この出来事について、オノ・ヨーコは次のようにコメントしています。

そしてリンゴを見た。ジョンは何も言わなかった。彼はただそれをつかんで、かじった。リンゴは新鮮なもので、このように設置されていた。そして、彼はただそれをつかんでかじり、「ほら!(There!)」という感じで私を見たんだ。私は激怒して、何を言っていいかわからなかった。それが全部顔に出たんだ: どうしてこの人は、私の作品に手を出すんだ?それで、彼は「申し訳ない(I'm sorry.)」とだけ言って、また台に置いたの。

出典:https://www.moma.org/audio/playlist/15/368
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ルネ・マグリット

ルネ・マグリット『Le jeu de mourre(Au Revoir)』(1966年)

ルネ・マグリット(Rene Magritte)は、ベルギー出身のシュルレアリスムの画家として知られています。

マグリットは自身の描く絵のモチーフとして、青りんごを度々使用しています。

ルネ・マグリット『リスニング・ルーム』(1952年)
ルネ・マグリット『The Son of Man(人の子)』(1964年)
ルネ・マグリット『観念』(1966年)

The Beatles

ルネ・マグリットとポール・マッカートニー

Martha, Paul and the painting https://webgrafikk.com/blog/beatles-photos/green-apple/

1967年のポール自宅の家で撮られた写真です。この写真の中で、ルネ・マグリットの青りんごの作品が『Le jeu de mourre(Au Revoir)』が飾られています。

ルネ・マグリット『Le jeu de mourre(Au Revoir)』(1966年)
ポール・マッカートニー、ジョン・レノン、ミック・ジャガー、マギー・マクギヴァン(当時マッカートニーと不倫関係にあった)、ポールの自宅(ロンドン、セント・ジョンズ・ウッド、キャベンディッシュ・アヴェニュー) https://thepressmusicreviews.wordpress.com/2022/11/05/the-beatles-1967/

1993年のヨハン・ラルとのインタビューで、ポール・マッカートニーは次のように回想しています。

それについては素晴らしい話があるんだ。僕には、ロンドンでギャラリーを経営しているロバート・フレイザーという友人がいた。僕たちはよくつるんでいた。彼にマグリットが大好きだと話したんだ。私たちは60年代、雑誌などを通してマグリットを発見していました。彼のユーモアのセンスが大好きだったんだ。そして、彼が9時から1時までボーラーハットをかぶって絵を描いていたごく普通の男だったと聞いて、さらに興味をそそられるようになった。ロバートはよく私のために絵を探してくれた。当時はとても安かった。でもとにかく、私たちは彼のことが大好きだった……。ある日、彼は私の家にこの絵を持ってきた。夏の日、私たちは庭に出ていた。彼は私たちの邪魔をしたくなかったんだと思う。それでマグリットの絵を置いていったんだ。リンゴの絵だったんだけど、彼はそれをダイニングテーブルの上に置いて出て行ったんだ。きれいな青リンゴの上に「Au revoir」と書いてあった。私はそれが素晴らしいことだと思った。彼は、私がそれを気に入り、欲しがり、後でお金を払うことを知っていた。[だから、すごいと思った!なんて素晴らしいコンセプトなんだろう。そして、この大きな青リンゴは今でも持っているんだけど、これがロゴのインスピレーションになったんだ。そして、B面用に半分にカットすることにしたんだ!

出典:http://www.mattesonart.com/magritte-and-the-beatles.aspx

マッカートニーはマグリットの作品に深い興味を持ち、その中でも青リンゴの絵は特に影響を受け、後のアップル・レコードのロゴのインスピレーションとなりました。

マッカートニーとマグリットのエピソードはこれだけにとどまりません。2008年のインタビューで、彼はマグリットのメガネを所有していることが明らかになりました。

「リンダが誕生日にこれを買ってくれたことがあるんだ」とマッカートニーは薄くて丸いメガネを手に取りながら語った。「マグリットの)妻であるジョルジェットが彼のアトリエのものを売りに出していて、リンダがイーゼルとメガネと、あえて描かなかったけど小さなリネンのキャンバスを買ってくれたんだ。私は大ファンなので、とても怖かった。何週間もキャンバスに絵を描くのをためらっていたんだけど、最終的には『Agghhhh!』ってなって、描いてみたんだ。それから眼鏡をかけてみたんだけど、とても度数の強い眼鏡で、頭が痛くなるよ!

出典:https://faroutmagazine.co.uk/paul-mccartney-adoration-surrealist-artist-rene-magritte/

マグリットのメガネは度数がかなり高かったんですね。ポールがマグリットのキャンバスに何を描いたか気になりますね。

Apple Recordsのロゴ

アップル・レコード(Apple Records)は、1968年にビートルズによって設立されたレコードレーベルです。ビートルズのメンバーは、このレーベルを通じて自らの音楽を制作・リリースするだけでなく、他のアーティストのサポートやプロモーションも行いました。

このレーベルの特徴的なロゴは、青りんごで、レコードの中心にもそのデザインが印刷されています。

このリンゴの品種はグラニースミス(Granny Smith)と言い、日本ではあまり馴染みはありませんが、アップルパイやケーキなどの洋菓子に使われます。

Appleコンピュータ

Apple(アップル)は、1976年にスティーブ・ジョブズ、スティーブ・ウォズニアック、ロナルド・ウェインによって設立されたアメリカのテクノロジー企業です。Appleは、Macintoshコンピュータ、iPhone、iPad、iPod、Apple Watchなどの製品で知られ、iOSやmacOSなどのオペレーティングシステムも開発しています。アップルはデザインと革新性で高く評価されており、世界中で多くのファンとユーザーを持っています。

Apple Inc.の名前は、設立者スティーブ・ジョブズが命名したとされ、その由来には複数の説があります。しかし、共同設立者のスティーヴ・ウォズニアックは、ジョブズがビートルズのレコード会社「アップル・コア」に触発された可能性を示唆しています。

ジョブズとともに共同でこのアップルを立ち上げたスティーヴ・ウォズニアックは、「ジョブズは音楽が好きだったから、ビートルズのアップル・コアから思いついたのかもしれない」と述べているのだ。

https://toyokeizai.net/articles/-/409614

こちらの記事でも触れているように、初代iPhoneの発表会では、ビートルズの楽曲を流していたり、ジョブズはビートルズのメンバーの関係を自身のビジネルモデルと重ねた発言をしていたり、ジョブズはビートルズ愛好家として知られています。

過去に、Apple Inc.とビートルズのアップル・コアとの間でロゴと名前を巡る訴訟がありました。初めての訴訟は1980年代に和解し、Apple Inc.は音楽事業に関与しないと、アップル・コアはコンピューター事業に関与しないと合意した。しかし、Apple Inc.がiPodやiTunesをリリースしたことで、再び訴訟問題が浮上した。この問題も2007年に和解し、Apple Inc.がアップル・コアに5億ドルを支払い、関連する商標権を獲得したという経緯があります。

参考サイト

Green Apple
TheinspirationbehindtheBeatles’AppleCorpswasthispaintingbyRenéMagritte.This1967photoofJohnLennon,MickJaggerandawomaninPaul’slivingroominCavendishAvenue,is…
https://globalcapitalism.history.ox.ac.uk/files/case32-theappleofmyeyepdf
Paul McCartney's favourite surrealist artist
JoinusaswetakelookattheBelgiansurrealistwhoinspiredJohnLennonandPaulMcCartney'slogoforApple,anartistforwhomnothingwasasitseems.

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